社長の独り言 2017/2/15
2017年2月の海外事情レポート - たまに覗くから面白い!毎日見ないでぇ・・・飽きるから。。 -
投稿日時:2017/02/15(水) 05:24
私は先週、2~3日のスケジュールで、主要輸出先の一つである東南アジアのカンボジアへ出張し、最新状況の把握や今後のスケジュールについて打ち合わせするつもりでした。
土曜日に出発して、火曜日に帰ってくるつもりだったんです。
しかし帰りの飛行機のチケットを無駄にしてまでスケジュールを延長し、一週間かけて3か国を回るよう変更しました。
活況を呈している今のうちに、不況時の備えをしておくべきという判断から、訪問先を増やした次第です。
結論から言うと、当社にとって喜ばしい話ばかりでした。
別に私が特別頑張った訳でも、運が良かった訳でもありません。
販売状況の良い時は、前向きな話ばかりが出ますし、状況が悪い時には景気の悪い話が出るものです。
例えば、これまで子供用の自転車ばかり取引していた相手から、大人用も送って欲しいという話が出たりします。
日本側としては、「こんな自転車を送りたい」という話をすると、「知り合いがいるから紹介する」という話になったりします。
状況が悪い時だと、「もうあの自転車は送らないで欲しい」とか、「値段を下げて欲しい」とか、そんな景気の悪い話ばかりです。
状況の悪い時は、そんなロクでもない話ばかりですから、海外出張に行きたくないのが本音なのですが、行って相手の話も聞かないと、取引自体がストップしてしまいます。
一昨年から昨年にかけての約一年間、聞きたくもない話を聞くために海外出張に出ていたのですが、今年はずいぶん気が楽になりました。
今の状況の中で私がやるべきことは、「不況時対策」と「収益アップ」の2つのテーマへの取り組みです。
「不況時対策」って何だ?
今は良いんですが、必ずまた中古自転車の販売が困難になる時期がやって来ます。
好不況の波・・・というのは避けられないですからね。
そんな時でも販売に困らないようにするためには、今のような好況時に多くのパイプを作っておく必要があります。
不況時に新規の販売先を見つけるのはとても難しいですし、見つかったとしても、間違いなく足元を見られます。
私の感覚だと、日本国内にいるバイヤーたちは、好況時は「売ってくれ」とうるさく言ってくるんですが、不況時は音信不通になります。(笑)
彼らの持つパイプの中で、注文が来ると商品を探す・・・というスタンスですから、注文が来ないと動きようがないのは理解できます。
しかしこちらは、それでは困る訳です。
日本側は商品の仕入を止める訳にはいかないですから。
ならば日本国内のバイヤーを飛び超して海外の業者と直接取引を行い、不況時でも売買が継続的に行えるようにしておく必要があります。
そんな下準備を行うのが好況時で、不況時はそのパイプを頼ることにより、安定的に販売できるような体制を構築する必要があるのです。
現在のような好況時には、色んな人間が「売ってくれ」と多くの引き合いがあるのですが、ブローカーの連中は基本的には相手にしないつもりです。
ブローカーの中にも継続的に取引を行う人もいますから、問答無用でシャットアウトする訳ではないのですが・・・。
仮にブローカーを通じての新規取引を行うにしても、自前で強固な関係の取引先を開拓しておくに越したことはありません。
何はともあれ、タイやミャンマーのクソ田舎まで足を運んで事業者と会った結果、新規取引を開始することで合意しました。
今回、新規取引関係をスタートさせることで合意した海外事業者は、約1年前の不況期に一度商談を行ったことがあったのですが、日本国内のブローカーに騙されて、多くの不良在庫を抱えてしまったタイミングでした。
タイミング悪く、取引成立とはならなかったのですが、ようやく不良在庫を一掃する事が出来た・・・とのことで、取引スタートで合意する事が出来た次第です。
どんな商品の取引を行うかは、のちほどご紹介します。
さて、不況時対策と並ぶ、もう一つの重要課題が、「収益アップ」です。
収益アップというと、「高値で売る」というイメージなのですが、実際にはちょっと違います。
やはり何事にも「相場」というものがありますので、相場から大きくかけ離れたような価格で取引するのは難しいんです。
相場より高い価格での取引があるとすれば、取引相手や間に入る仲介者の情報不足に付け込んで、高値で押し付ける・・・というイメージになります。
当然、そのような取り引きが継続的に行われることはありませんし、ほとんどの場合は相手が損をして、初回だけで取引終了という事になります。
オイシイと言えばオイシイのですが、一度だけ少しばかり余分に利益を上げさせてくれる取引相手よりも、継続的、安定的に取引できる相手の方が好ましいのは言うまでもありません。
このため、高値で売ることを模索するよりも、どちらかと言えば、「ロスを減らす」ことにより収益アップを目指すという感じになります。
当社に集まってきた全ての自転車が売れれば良いのですが、「全ての自転車を売る」というのは、中々難しいことです。
当社の場合、「売れ筋だけを仕入れる」という形態では事業を行っておらず、あらゆる種類、状態の自転車が集まってきます。
そのかわり、仕入価格は少し安い・・・というスタイルです。
ですので「鉄くずにしか見えない」ような自転車も、多く集まってきます。
それらの自転車を鉄くずとして扱うのか、鉄くずより少し高い価格で中古自転車として海外へ輸出するのかによって、年間の収益は大きく異なってきます。
一台あたり100円の差でも、年間10万台の取引なら、年間1,000万円もの差が出る訳です。
ボリュームが大きくなると、効果は非常に大きいものになります。
結論だけ申し上げると、今回の出張時に行った交渉成果により、日本国内で鉄屑として処理しなければならない自転車は、ほぼゼロにすることが出来たと思います。
古い自転車であろうが、不人気のタイプの自転車であろうが、全ての商品を輸出する道筋が出来ました。
少し具体的な話を書かせていただくと、「古い自転車」とは、例えばこんな自転車です。

ボディ全体にサビが回り、車輪のスポークはサビだらけ。
ここまで来ると、販売価格を落とした「Bグレード」としても販売するのは難しいです。
画像の自転車は人気があるタイプでもなく、これまでは「鉄屑」として処分していましたが、今回「中古自転車」として輸出するルートを新たに開きました。
鉄屑より高く売れるので、「チャリンチャリン」と、これからは当社に小銭を落としてくれるでしょう。
次は不人気車を紹介しましょう。

不人気車の代表車種は、画像のような子供を乗せる自転車です。
多くの発展途上国では、小さな子供を自転車に乗せて出かけるという習慣がありません。
小さな子供がいるならば、かつて日本がそうであったように、家族や近所に預けておけば良い。
したがって、安全に子供を乗せることが出来る高機能な自転車も、海外では「ヘンな自転車」でしかありません。
だから人気が無い。
これまで鉄屑屋に直行だったこのタイプの自転車も取引が成立したので、一応は中古商品として取り扱うことが出来るようになりました。
「一応」と申し上げたのは、中古商品にはなるものの、このような古い自転車や、一部の「超」不人気商品は、採算割れの状態に変わりはありません。
このような自転車が出てくると、諸経費を考えると1台あたり500円ほどの損失が出ていたのが、今後は一台あたり200~300円程度の損失で済む。
そんな話ですから、手放しで喜ぶわけにはいかないのですが、状況が改善されたことには間違いありません。
こんな感じでそれなりの成果が上がったのですが、本番はこれから。
ウチのような零細事業者は、じっくりと長期的な収益だけを考えているような資金的な余裕がありませんから、将来に向けた布石を打つとともに、全速力で自転車を漕ぎ続けなければなりません。(笑)
目先の成績(収益)を全力で挙げながら、同時に長期的な安定性も達成しなければいけない。
な~んだ。
世の中の多くの企業戦士諸氏と同じですがな。
「仕事」っていうのは、総じてそういうものなんでしょうね・・・。
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