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ブログ 2015/10/19

小型家電リサイクルの報道 - たまに覗くから面白い!毎日見ないでぇ・・・飽きるから。。 -[社長の独り言]

投稿日時:2015/10/19(月) 06:03


土曜日の朝だったと思いますが、NHKの番組で「小型家電リサイクル」についての報道がありました。





主な内容としては、昨今の金属価格下落により、小型家電リサイクルに暗雲が立ち込めている・・・というものでしたが、ご覧になった方も多いのではないかと思います。



関東地方某市の例でしたが、2014年の小型家電スクラップの払い下げ価格は1kgあたり48.5円程度で年間約300万円の売却益があったものの、2015年度の払い下げ価格は1kgあたり20円強にまで落ち込んだとの事でした。





金属相場というものは常に変動するものですから、払い下げ価格がそれに合わせて変動するのは当たり前のことではあります。


払い下げ価格(われわれ業者にとっては取得価格)が、1kgあたり48.5円というのが少々高すぎるような気がしますね。


それがたとえ2014年の金属相場であってもです。





小型家電スクラップから貴金属やレアメタルを抽出するという大義名分のもとで始まった「小型家電リサイクル法」ですが、すでに以前から市場原理に基づいて行われていた事業に対して、「官の論理」が追加されると採算性が著しく悪化するというのは当然の帰結です。


国際的なルール作りの流れの中で、止むにやまれぬ大人の事情もあるのでしょうが、官が口出し(?)するようになった事業は、その時点でビジネスでは無くなるなということを改めて痛感しています。





番組の中では、払い下げ価格の下落に対する対応も紹介されていました。





資源価格が下落する中で、一定の売却益を確保する方策として、回収量を増やす試みが紹介されていました。


この方法は、我々民間事業者にとっても有力な選択肢の一つではあります。





資源価格が下落しようが何であろうが、売上高を大きく下げるわけにはいかないという大人の事情が多くの企業にはありますもんね~。


ですので、回収量を増やすことにより前年度と同等の売却益を・・・という試みは、お役所としては非常に前向きな発想であるとは思います。





確かに回収量が増えれば売上高である売却額は増大するのでしょうが、その売上高増加策は同時に費用増加を伴うものですから、果たして「売却益」増加になるかと言えば、微妙なところでしょう。


ビジネスの論理で言えば、ダメなとき(資源価格の安いとき)は、何もしないのが一番の策であることもあります。


下手に動けば、出血量を増やすだけという場面もあります。





少なくとも私は、これまでにそのような経験をして来たように思います。





ただ「何もしないのが一番の策」というような考え方は、市場原理に基づいた行動ではあるものの、第三者に説明することが中々困難な対処かと思います。


特に官製の商売では、そのような柔軟(?)な対応ができないのではないかと心配しますよ。





官に限らず大きな組織になると、人員と予算が配置された事業の中で「何もしない」という選択をすることは、たとえそれが最適な選択であっても実行するのは困難でしょうからね。


第三者あるいは上役から、「サボっているのか?」と受け取られやすい選択ですので・・・。





最後にもっと不安になったのは、収益性向上のために「機械化」を切り札とする考え方が根強いことです。


人件費を削減するために機械化・・・という考え方は、これまで広く社会において進められてきた手法ですが、リサイクルの世界においては間違いであるというのが私の持論です。


私だけでなく、リサイクル業界に身を置く人なら、肌感覚である程度分かっていただけると思うんですけどねえ。





そりゃあ人力に頼って輸送していた物品を、輸送機器を使って運ぶとか、機械化することにより効率と採算性が向上する場面は多くあります。


しかし21世紀の日本では、機械化が有効である部分はすでに機械化されています。


「そのほうが儲かる」というポイントに関しては、私たち民間事業者はとても敏感ですので、利益に直結するような機械があれば、大きな借金を抱えてでも導入します。





収益向上に繋がる新たな機械化というのは、本当に難しいと思いますよ。


小型家電で言えば、小型家電そのままの姿形で機械に放り込み、貴金属やレアメタルを多く含有する機器と、そうでない機器を自動的に分別し、プラやベースメタルを自動分別。


その上で貴金属やレアメタルを含有した部位がキレイに残っている・・・。





こんな夢のような機械が安くで発売されるようになれば、ウチも買いますわ。





でも現状で研究開発されている機械って、人間の手によりヤマに放り込むだけの状態にまで分別されたものを、金属別に機械的に仕分けするというレベルの物。


機械に異なった金属を入れると、「ほら、キレイに分別されますよ」ですって。





そんな機械が有効だと考えておられる方は、金や銀などの貴金属やレアメタルが小型家電の中に単体で入っているとでも思っているのですかね?


そんな機械、誰が買う?


それは大学の研究室内での玩具であって、商業ベースに乗る機械では無いのですよ・・・。






現実問題として、効率的なリサイクルを行うためには機械化よりもむしろ、人間の手によるキメ細かい分別・仕分けを増やして採算性は向上するかと思います。





「人間の価格」は、日本国内においても頭打ちですし、ドルベースでは3年前の2/3のコストに下がっています。


それでも高けりゃ、製造業などと同じように海外の安い人件費でやれば良いだけの話。





製造業は海外へ安い人件費を求めて行っても良いけれど、お前らはダメ・・・というのが前提だから、矛盾やひずみが出てくるんですよ。


製品を作る、モノ作りという局面においては、一定量の単一商品を作り上げるので機械化も比較的容易でしょうが、リサイクルの場面では、一品一品が、素材も形も何もかもが異なる商品を扱わなければならないわけです。


一品だけの試作品製作のような場面と同じですわ。


人間がやらなきゃ、しょうがない。





貴金属やレアメタルのリサイクルは、試作品製作と同じだと認識すれば、あまり的外れな考え方はしないと思うんですけどね。





そういう場面で、同時・大量処理を得意とする機械化は不向き。


鉄に代表されるようなベースメタルを大量にリサイクルする場面で、多少のロス(ダストになってしまう)が出てもしょうがないという考え方でやるなら、機械化も結構ですけど・・・。





しかも必要とされる機械の数が多いわけじゃないし、機械自体の価格も高くなります。


高額な設備投資をすることになりますから、それを回収しようとすると仕入れ価格を下げるしかありませんわな。


結局、誰もが得をする話ではありません。


あ、機械メーカーは儲かるか。





最後に・・・


本日のブログは誰かを貶めたり、批判することが目的ではありません。


確かに、「的外れだな~」という趣旨のことを申し上げているのですが、世の中には「分かっていても、そうせざるを得ない」ことが多くあります。





小型家電リサイクルの話も、その類の話であると思っておりますので、そんな現状をボヤいているだけだとご理解くださいね。








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