社長の独り言 2016/9/30
事業内容の変化 - たまに覗くから面白い!毎日見ないでぇ・・・飽きるから。。 -
投稿日時:2016/09/30(金) 05:56
当社の事業バランス(?)に少々変更が生じる予定です。
事業バランスとは、当社が「どんな事業内容で成り立っているか?」という話です。
それを売上高で見るのか、利益で見るのか、必要な時間や労力で見るのかによって比率は変わってきます。
総合的というか、私の感覚的なもので申し上げると、貿易事業が全体の約60%、貴金属含有くずに関する事業が約35%、その他の事業が約5%・・・というところでしょうか?
貿易事業の中核商品は中古自転車です。
中古自転車を取り扱うことによって得られた情報や開拓されたルートを利用して、自動車やその他各種アイテムを取引するというスタイルですから、自転車無くして貿易事業は成り立たないというのが実際のところでしょう。
「中核商品」って、とても大切なんです。
例えば中古のオートバイをオーダーされたとします。
オートバイを海外へ送ろうと思うと、通常は海上コンテナ1台分のロットが無ければ送ることが出来ません。
最低でも数十台単位でないと送れないという事になりますね。
しかし日常的に中古自転車を送っている当社なら、一台だけをコンテナに入れて送ることも可能です。
小ロットの取引にも対応可能・・・という強みが出てくるのです。
貴金属含有くずの事業に関しては、廃棄された電子機器などから出てくる「基板」から、貴金属を抽出するという仕事がメインになります。
基板の世界は職人芸・・・です。・・・かな?
知識と経験、データの蓄積などに基づいた科学的(?)な仕事なんですが、これが職人芸に見えるんです。
この仕事だけで食っていこうと思うと、24時間、貴金属屑のことだけを考えていないと無理。
そんな気がします。はい。
事業バランス変更の話の前に、今日は久々に貴金属含有くずの話を書こうっと。
最近では円高傾向が進んできており、1ドル=100円を切るかどうか?という水準になってきました。
数年前、当社は貴金属含有スクラップの輸入事業に力を入れていましたが、その当時は1ドル=80円ほどの時代でした。
輸入品が非常に割安に感じましたので、積極的に事業を進めていたのですが、急激な円安進行に伴って事業転換を強いられたという経緯があります。
現在では全く輸入を行っておらず、国内発生の貴金属含有くずだけで事業を行っています。
ちょうど先週の月曜日、中古商品の販売代金なんですが、海外から送金が行われてきました。
ドル建てで送金されてきて、日本の取引金融機関で円に両替されて口座に入金するのですが、その時の為替は1ドル=99.7円でした。
1ドル=100円を切った・・・という事で、心理的には多少のダメージを受けました。
「また、輸入事業も考えなければいけないかな?」
そんな気持ちになります。
しかし実は、貴金属含有くずの輸入を停止した理由は、為替の変動以外に、心理的な要因が大きかったのです。
貴金属含有くずの輸入事業では、いくつかの大きな失敗をしています。
誰もが通る通過儀礼、授業料なんですけどね。
その中でも、特に印象深い事件(?)が、3つほどあります。
まずは、輸入事業の第一弾、韓国から輸入した初めてのコンテナです
現地でグレード分けなどの詳細を確認し、信頼のおける現地の代理人に送ってもらったコンテナだったのですが、いわゆるアンコをやられたり、騙しの初歩的手口にやられました。
「アンコ」とは、フレコンに入った多くの基板の中心部分にだけ、低品位のモノを入れる手口です。
上から覗いても、フレコン下部をカッターナイフで切って中身を確認しても異常は見つからないのですが、中心部分にだけ低品位のモノが混ぜられているという手口です。
どら焼きや今川焼などは、中心部分にだけアンコが入っているでしょ?
アレと一緒で、中心部分にだけ、悪いものが入っている。
ちょっとアンコに失礼ですが、私は「アンコが入っていた!」と読んでいます。
何はともあれ、初コンテナでキツイ洗礼を受けました。
精錬の結果を見て、「ウソだろ?」と顔が蒼ざめていくような感覚になったのを、今でも鮮明に覚えています。
この初コンテナの損失を取り戻すのに、半年くらいかかりました。
初コンテナは少々高い授業料を払ったものの、おかげでそこそこ順調に利益を出せるようになってきました。
しかし一度だけの失敗で終われるほど、世の中は甘いものではありません。
数ある失敗の中でも、最後の輸入事業となった失敗がありまして、それはベトナムからの携帯電話基板の輸入です。
最初にベトナムへ飛んで少量のサンプルを持ち帰り、それを分析に出しました。
出てきた品位は好結果でしたので、相当な量を輸入することにしました。
携帯電話の基板は小さいので、段ボール箱に小分けにされて送られてきました。
どこへ出荷するかを検討するために、1箱ずつ複数の精錬会社へ出荷してみました。
結果に多少のバラつきがあったものの、サンプルの値とほぼ同数値が出たので、ホッと一安心。
で、某商事に全量を出荷したところ、サンプルや1箱だけを出した時と比べ、半分ほどの結果しか出ませんでした。
これも顔が蒼ざめましたね~。
せっかくコツコツと積み上げてきた、輸入事業における半年分の利益を吐き出すくらいのダメージ。
それで私は悩みました。
現地での確認、サンプルの分析などを慎重に行い、小ロットでの複数社への出荷までやっての結果ですので、もはやこのような失敗を避ける方法が無い。
どうすれば良いのか?
基板の世界における師匠とも話をしたのですが、分析結果に多少のバラつきが出る「振れ」と考える以外にないとの結論に達しました。
上振れすればラッキーだし、下振れすればアンラッキーでしたね・・・としか言いようがないのですが、「輸入」という大きなロットの取引で、幸運、不運という要素は怖いです。
一度のアンラッキーなら、「半年分の利益を吐き出してしまった・・・」と泣いていれば良いのですが、同じことが二度、三度と、連チャンで起こらない保証は、どこにもありません。
私はパチンコ打ちでしたから、確率300分の1のパチンコ台を打っていても、3,000回打っても当たらないことがあるということも、肌身に染みて知っています。
10回連続で精錬結果の下振れに見舞われ、大損害を出す可能性も十分にあるのです。
これがパチンコならどう乗り切るか?
3,000回打っても当たらない日があっても、30回で当たる日もあります。
短期的には確率のバラつきがあったとしても、長期的には一定の確率で収束していきます。
確率通りに収束させるためには、長期的な勝負が必須です。
長期的な勝負をしようと思えば、確率のバラつきに耐えられる、一定の資金力が必要。
あたりまえのパチンコ必勝法です。
もうお分かりだと思いますが、当社がパチプロなら確率のバラつきに耐える資金に問題はありませんが、貴金属含有くずの輸入という大事業でのバラつきに耐えれる資金力はありません。
つまり、運が悪ければ倒産する・・・ということです。
天災やテロなど「アンラッキー」と呼べる部類の出来事で、企業が倒産してしまう可能性はあります。
それなら諦めがつくのですが、「サイコロの目が悪かった」的なアンラッキーで倒産するのは真っ平御免です。
そろばん勘定で言うと、そんな事情で貴金属含有くずの輸入事業を停止しました。
10回連続とまでは行かなくとも、何度かアンラッキーが連続で起こったとしても、それに耐えることが出来る企業体力を付けてから輸入事業を再開する。
そんなつもりです。
輸入を辞めた理由はもう一つ、そろばん勘定以外に「精神的なダメージ」の影響があります。
自社で精錬会社に出荷することのリスクは避けたい。
でも、せっかく切り開いた輸入ルートを活用したい。
そんなとき、何をするのかはお分かりいただけると思います。
輸入価格にわずかな手数料を乗せて、転売することを考えたのです。
過去の実績をもとに仕入価格と販売価格を決めて転売したのですが、私の気持ちの部分に傷を残すことになりました。
自社でやってラッキーやアンラッキーがあるということは、他社がやっても同じことが起こる訳です。
輸入した貴金属含有くずを他社に転売するという事は、結局他社にリスクをツケ回すことになります。
当たり前と言えば当たり前なのですが、そういうビジネスは性に合いません。
実際ウチを信用して購入してくれたとある方に、金銭的な損害を出させてしまいました。
相手の方は「リスクはしょうがない」「勉強になった」などと言ってくれるのですが、やってはいけない事をやってしまった・・・という気持ちが大きかったです。
そんな事があって、貴金属含有くずの輸入事業は停止中です。
再開するのは、すべて自分がリスクを背負えるようになったときだと考えています。
それで現在は、高い授業料を払った代わりに得た知識と経験をもとに、国内発生の商品のみを取り扱っているという次第です。
大きな取引や新たなチャレンジを避けている面がありますので、非常にゆっくりとしたペースですが、少しずつ取扱量も増えてきています。
貿易と貴金属くずの事業、双方に全力を投入できるほどのキャパシティが私の脳ミソには無いので、今は貿易事業が主となっていることは、皆さんお感じのとおりです。
そんな中、状況が変化してきまして、事業バランスに変化が来そうな状況になってきました。
長くなりましたので、その話(本題)は次回に・・・。
米国向け輸出単価 - たまに覗くから面白い!毎日見ないでぇ・・・飽きるから。。 -
投稿日時:2016/09/30(金) 05:15
「日本企業の部品が無ければ、高値で自転車を売れない」という内容で、中国自転車製造企業の問題点を紹介する記事が出ていました。
原文はコチラ
「どんな部品なのか?」という話の中で、自転車の「変速機」が例に挙げられていていました。
実はこの変速機の話は、私も海外の現場でよく聞く話です。
中国製の安い自転車だけれども、「シマノ製」の変速機が付いているから良い自転車だ。
こんな話を、自転車小売りの関係者から聞くことは珍しくありません。
もちろん、逆のパターンのほうが多いんですが・・・。
逆のパターンとは、「変速機だけはシマノだけど、他がクソだからダメな自転車だ」という評価を受けているケースのことです。
いずれにせよ、日本メーカの部品が高い評価を受けていることに変わりはありませんので、何となく嬉しい気分にはなります。
ま、私たちの立場からすると、中国メーカーに部品を売らないでくれるか、あるいはバカ高い値段で吹っかけて売って頂けると大変助かるのですが・・・。
新品中国製自転車の競争力を落とすことになりますから、我々日本の中古自転車業界にとっては助かるという意味です。
さて、記事の中で一番気になったのは、「米国向け自転車の輸出単価」に関する話です。
記事によると、「米国向け自転車の輸出単価は、59.11ドル(約5971円)にとどまる」とのことでした。
クソ安いですね~。
どんな種類の自転車が、どれほどの数量を輸出しているのかは定かではありません。
しかし単純に考えて、米国向きの輸出商品が、他国向きと比較して低品質だとは思えません。
また、いわゆる「ママチャリ」のような自転車ばかりだとも思えません。
マウンテンバイクやロードバイクといった、比較的単価の高い自転車が、それなりの数量を輸出されていると考えたほうが自然でしょう。
それでいて輸出単価が60ドル未満なわけですから、滅茶苦茶に安く自転車が輸出されている・・・と考えるのが自然でしょう。
アンチダンピング関税をかけろ~。
そんなことを言いたくなりますね。

画像は以前一度乗せたことがあるのですが、東南アジア某国にて一台40ドル強で販売されている、中国製自転車です。
変速機は付いていないし、各パーツが非常に劣悪であることがよく分かります。
しかし低価格は魅力ですからね。
日本から輸出された中古自転車が40ドル弱。
中国製の新品自転車が40ドル強。
中古自転車、とても健闘していると思います。
日本からの中古自転車のライバルは、中国製の新品自転車だから、雨期が終わろうと入学シーズンになろうと、販売価格(相場)が上がることは、基本的には無い。
それが私の分析です。
また、中古自転車業界が置かれた厳しい環境が原因で、ビジネスから撤退する業者が続出し、供給が多少減っています。
これが値上がりの要因になる・・・?
そんな希望的観測も聞かれますが、やはり同じくライバルは中国製新品だという前提で考えると、中古の供給量が減ったところで相場に与える影響は、限りなくゼロだと考えざるを得ません。
多くの粗悪品が市中に出回り、中国製新品の評価が地に落ちるまで、相場が上昇することは無いと考えるのが宜しいかと思います。
「そんな気長な・・・」と言われそうですが、自動車にせよオートバイにせよ、かつて一時は安価な外国製が一世を風靡したものの、品質に関わる悪評から、日本の中古車に回帰したという歴史があります。
私がよく出張に出かける東南アジアの国の話ですが、今から約20年前にも何度か旅行で訪問したことがあります。
当時も今も、街のあちこちに中古車を販売している店があるのですが、当時は日本車の中古車店より多くの韓国車の販売店を見かけていました。
当時から、「日本車は壊れないが、韓国車は壊れやすい」との評判でしたが、現在では韓国車を見かけることは極めてまれ。
東南アジアの多くの国では、「日本車神話」とでも言うべき状況が続いています。
何しろ、日本より日本車比率が高いのでは?と思わせる国が少なくありませんので。
歴史は繰り返される。
それが私の「希望的観測」です。
希望的観測はイカン・・・と、日頃は自分を戒めているつもりなのですが、多少はそんなものでもないと、やってられませんからね~。
いつか、日本の中古自転車が中国製の新車を駆逐する時代がやって来る。
そう信じております。
2016年9月
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